virgilの日記

映画、シリーズの感想多めです。

「ノーマル・ピープル」「DES」

AmazonからSTARZPLAYチャンネルを購読して観た2本。

 

ノーマル・ピープル

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えらい評判だったのでずっと気になっていてやっと観たら、期待以上に素晴らしくて、観たあとぼーっとしてしまうタイプの作品だった。ストーリーはとてもシンプル。いわゆるボーイ・ミーツ・ガールの典型なのだが、絞られた脚本と美しい映像でぐいぐい引っ張ってくれる。2人の家庭環境やスクールカーストの違い、地元vs都会といろいろな要素を織り込みながら、なによりお互い繊細であるがゆえのすれ違いが観ていて辛くなる。何も知らずに観てほしいのであらすじには触れない・・。

 

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辛いけれどうっとりしてしまうのが、撮影と2人の演技のケミストリー。どのシーンも写真にしたいくらいの静かな映像。舞台がアイルランドなのもいい。上に載せた写真は特に好きなシーン。ほかにも、別れ話を聞いている主人公のコネルのあるシーンも、うわ・・映像でしかできなストーリーテリングだと震えた、けど、画像が見つからず。主演2人の演技が本当に真に迫っていて、カメラワークや編集のせいだけではないと思う。特にコネルを演じたポール・メスカルの表情だけでも、このドラマを観る価値はある。文武両道で学校の人気者だが、実は本の虫で、自分の気持ちがよくわかっていないのを自覚している繊細な青年。ものすごく微妙な顔をするのがたまらない。マリアンを演じるデイジーエドガー=ジョーンズは、少し地味なアン・ハサウェイみたいなルックス。成績はトップだが、人との交流が苦手で高校では変人扱いされてしまう。裕福な家で育つが、家族からは虐待ともいえる仕打ちを受けていてそれがずっと彼女の感情や行動に影響を与え続けている。聡明な女性が自己否定から抜け出せないのを映画やドラマでみると、ほんとうにいたたまれなくて辛い。いいやつだけど未熟なコネルはマリアンに導かれて大人になる、けど、マリアンはどうするんだよ!って暴れたくなる。

 

コネルの母親が、コネルをあることで叱る場面がある。こういうセリフってなかなか聞かないので、よく言ってくれた!と小躍りしたくなるシーンだ。ここで、あ、脚本は女性だな、と思った。原作本もあり、作者が脚本も書いたようだ。たまに、女性視点から見て芯を食ったセリフがあると、脚本が女性か調べてしまう。

 

1話30分以内で12話。このコンパクトな1話の中にこれだけ詰まってるのが信じられない。Amazon経由だけでなく、Apple TV+経由でも観られるのでぜひ。誰かと、あそこはさー!って話したくなる作品。

 

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DES

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ほかにもSTARZで観るものないかな、と探してて見つけた3話完結のUKミニシリーズ。実際に80年代のロンドンで起きた有名な連続殺人事件を題材にしていて、当時のニュース映像も使われている。目立たない公務員がランダムに選んだ男性をアパートに誘い込み、殺して切断、頭部を鍋に入れて一晩中コトコト煮込んでいたらしい。実際の犯人と同じくスコットランド人のデヴィッド・テナント(大大好き)が演じている。切断した遺体を流したので下水に詰まったのを発見されて捕まり、詳細をべらべらと自供する犯人を、精神異常として減刑するかどうかが焦点になる。犯罪ものをたくさん見てるので、シリアルキラーが「ふつうの人」に見えるのはもうデフォルトという認識になってしまっていて、衝撃は何もないけど、現代ほどに検証がテクノロジー化していない時代の捜査の難しさと、警察という組織のいい加減さ(予算とメンツで捜査進行が左右される)、担当したチームの献身あたりは見どころ。あと、デヴィッド・テナントがずっとしゃべり続けてるのも(私だけか)。

 

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