Netflixオリジナル映画2本。
ドント・ルック・アップ
個人的に、Aリスト俳優がぞろぞろ出演する映画が面白かった試しがない。たとえ大好きな人たちだとしても、いつも散漫な印象で終わる。なので、これも観ないなーと思ってたけど、観るなら今しかない類の内容らしいので、今月ネトフリ解約するし、観とくか…と何度も中断しながら最後まで観た。
映画が現実を几帳面になぞっていて、それ以上でも以下でもない、という感じかな…。今地球に彗星が衝突して人類は滅亡することになったら、アメリカで何が起こるかを皮肉をこめて予測する内容。予測というか、すでに現実に起こっていることともいえるので、うん、あったね、ありそうだね、と確認する感覚。もちろん誇張してるけど、残念ながらどんなにバカバカしくても現実だったりするので、コメディだけど笑いきれない。アダム・マッケイって、フィクションのようなふざけた現実を痛々しいコメディで見せるのが十八番なので、そのままだったなぁ。ディカプリオがファーック！って大声だしてるのをぶつっと切ったり、ちょっと気になるカットをさっさと切る編集は好き。これを観てもっと考えることあるべきなんだろうけど、キャストが騒々しくてそういう気にならなかった。
ディカプリオって20代の頃はまだしも、なんでこんなに人気あって主役なんだろう？と昔から思ってる不思議な俳優だ。顔もイケメンではないし、かといって味があるわけでもなく、オーラもないし、とっちゃん坊やじゃん…。演技が上手いと言われてるのもいまいち分からない。叫べばいいってもんじゃない。マット・デイモンとかベンアフもそうだけどさ。ほかの主役級俳優たちは、いつもと違うふざけた役がやれてきゃっきゃと楽しそうだったが、ふーんだわ。出色は、ハイテク企業のCEO役のマーク・ライランス。ガチの成りきりで、めちゃくちゃ気持ち悪くて最高だった。
ロスト・ドーター
主人公が休暇中に訪れたギリシャの島である若い母と娘に出会い、自分の娘たちとの過去に向き合うことになる。
「育児って重荷よね、ハッピーバースデー」なんて旅先で初めて会った人にさらっと言うあたり、いったい過去に何があったのかと先が楽しみになる。現在のパートと、主人公レダの若い頃のパートが交錯する構成。レダといい、母娘とそのチンピラ家族、管理人のライル、バイトのウィル、みんなほんのり裏がありそうで、ミステリアス。彼女の過去を少しずつ明かしながら、現在パートではレダがあるものを盗んだこともあり、ちょっと不穏な雰囲気も醸成されて、程よく緊迫するが、最後はわりとあっけない。これをあっけない（ポジティブなエンディング）と取るか、実は…と解釈するかで分かれるようだけど、私は平和な終わり方だと思った。
育児中、あるいは育児経験者には辛いシーンがある。すごくリアルで、非経験者でも発狂しそうになるレダの気持ちが分かる。「私には母性がない」。なかなか強烈なセリフだ。原作者が映画化に課した条件が女性に監督させることだった。監督のマギー・ジレンホールの演出が素晴らしい。全編に渡って微妙な緊張感があって、旅先ならではの人間関係がよく描けている。
役者がばっちりそろっていて、観てて楽しい。最近オリヴィア・コールマンがでてる作品はなんでも面白い。ふつーのおばちゃんもできるし、「ザ・クラウン」の女王役は本人と話し方まで似てるし、本作みたいな、曲がったことは嫌いで勇敢だがトラウマに苦しんでいる複雑な役もどんとこい。「ノーマル・ピープル」のポール・メスカル君は、ダブリンの大学生で夏休みにバイトしに来てるウィル役、レダと浮気する学者にはマギー・ジレンホールの夫、ピーター・サースガード。この2人めちゃ素敵カップル。
若きレダを演じるのは「もう終わりにしよう」ですごく気になったアイルランド出身のジェシー・バックリー。地味だけど印象的な顔をしていて、ほかの作品も観たい。
レダの元夫を演じるのはイングランド出身のジャック・ファーシング。出演シーンは少ないけど妙に存在感あった。
ちょっとびっくりしたのが管理人役のエド・ハリス。お顔はかなり歳を取った印象で80歳くらいに見える。スリラーでゾンビになったマイケル・ジャクソンみたいな…。が、枯れた色気あり。顔にも驚いたけど、小さなパーティーで踊るシーンでの独特な動きがめちゃ気になった。上手いとかじゃなくて、このお顔で妙に身軽なちょん、ちょんて感じのダンス。ダンスフロアに居たら、絶対見ちゃう人。お歳を調べたら、まだ（？）71歳だった！もしかしたら69歳のデヴィッド・バーンより身軽かもしれない。例によって、エド・ハリスファンのtumblrで誰かがGIF作ってたので拝借。
