インベスティゲーション
何も知らずに観始めたら、とにかく地味で、捜査は遅々として進まない。タイトルに「捜査」とシンプルにつけられているとおり、ひたすら地道な作業が続く。これが決めてになるか！と思ったら、はいダメでした、の連続。電話がかかってくるたびに、朗報を待つチームの微妙な顔が印象的。現実の事件捜査とはこういうものだぞ！ドラマとは違うんだ、と言われてるかのよう。犯罪ドラマに欠かせない刑事同士や周辺の人間の愛憎劇はほぼまったくない。にもかかわらず、次のエピソードを観たくなってしまう不思議。
海外での宣材写真はこの画像がタイトルバックになっていて、ドラマの雰囲気を象徴していると思う。潜水艦内での殺人事件なので、海の中から遺体を探すのが最大の難関。スウェーデンから水中の遺体を見つける犬を借りて、試行錯誤を繰り返す。そんな警察犬がいるのかとびっくり。
実はこれは2018年にデンマークで起きた実在の事件。残酷な殺人事件として世間に広まるが、何か月経っても解決しないまま、プレッシャーは捜査主任のイェンスに重くのしかかる。このおじさんが、無表情に苦悩する顔をずーっと見ることになるのだけど、この人の顔がいいというか、現実はこうやってじっと耐えながら働いてるんだろうな、というリアリティがある。叫んだり酒をあおったりするよりも辛さが伝わる。事件から数年しか経ってないのもあって、捜査した人々へのねぎらいと被害者への追悼の意味が強いので、より現実に即した地味な演出になっているのだろう。
このドラマは犬がたくさん出てきて嬉しい。イェンスも被害者家族も犬を飼っていて、家族の一員とわかる描写がよく出てくる。イェンスのストレス解消法は狩りと射撃なので、一緒に狩りに行って、犬が獲物をくわえて帰ってくるのもかわいい。かわいがるだけのペットじゃなくて、共同作業できる犬って、人間とのつながりを感じられていいなあ。
ちなみに、スターチャンネルEXは番組紹介が充実していて驚いた。配信・放送する番組数が少ないとはいえ、映画ライターが書いた記事や、出演者情報もしっかりカバーされてるし、ポッドキャストもあるのか。スーパードラマTVでも放送されてたのね。この２チャンネルってほんとに手厚く作品を紹介するので、かわいがられてるな、って思っちゃう。
