virgilの日記

映画、シリーズの感想多めです。

追っかけ旅行:アメリカ

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日本に来ないミュージシャンのライブを観る旅行のアメリカ編。上の写真はヴェニューです。2005年3月、日本に帰国して関西の実家に居候している間、どうしてもイェンス・レークマンのライブを観たくて、アメリカツアーの日程を調べていた。アメリカは当然ながら都市間の距離が長いので、なるべく隣接している街で2回は観たいとなると、大都市+知らん街、になる。まあ飛行機使えばSF&LAとかでもいいんだけど、なんとなく近くがいいな、と思ってしまう。まずシカゴは決定。好きなコミック作家の縁の街だし、友人の妹が留学中というのでそこに泊まらせてもらうことになった。シカゴの近くで探すと、イェンスが所属するアメリカのレーベル、Secretly Canadianの本拠地、インディアナ州ブルーミントンがある。グーグルマップでは、車で4時間の距離。すごい中西部感。全然知らん街だけど、ちょうどいいのでここで決まり。シカゴ-ブルーミントンの移動手段は、行きは飛行機、帰りはグレイハウンドバスを使うことにした。一度長距離バスに乗ってみたかったのだ。

 

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シカゴ→ブルーミントン

当時滞在していた実家は関西なので、まず関空から飛んでシカゴ市内にある友人の妹宅に到着。もちろん初対面。彼女は大学に通っているので私は適当にふらふらする。時差ぼけがおさまった2,3日後にいざブルーミントンへ。空港に到着したが、実は宿を予約していなかった。小さな街であることは想像していたのに、なぜ肝心なことをやってなかったのか、全然覚えていない。いや、小さな街だから、予約で埋まっていることはなかろうとたかをくくっていたのかも。とりあえず、街の中心地まで行かねばということで、バスを見つけて乗ってみる。インフォメーションとかに行けば宿予約をしてくれるだろう。特に決まったバス停はなく、好きなところで降ろしてもらえるらしいが、私は目的地がないので、インフォメーションに行きたいとだけ伝えて、教えてくれるのを待つ。バスの車内には、楽器(クラシック系)を持った学生らしき若者がたくさん。大学があるんだろうか。道中の景色を見ると、庭に星条旗をかかげる平屋の住宅が多い。中西部に来たって感じ。どこの国のものであれ、国旗ってなんか怖い。

 

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宿がない!?

バスを降ろされて、インフォメーションを探す。想像したとおり、のんびりしたアメリカのふつーの街だ。宿を予約したいと告げると、おばちゃんが「あ~今日はキルト・フェスティバルがあるから宿は埋まってるかも」と。まじか・・キルト・フェスティバルやってそうだけどさ・・。ほんとに、予約もせずにこんなところによく来たもんだ。しばらく待つと、部屋を見つけてくれた。良かった・・しかもモーテル!めちゃアメリカっぽい! ヴェニューへ歩ける距離で、場末感もない清潔な部屋だった。

 

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ライブの時間まで街を散策。ビルと呼べるものは見当たらず、空が広い。

 

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アメリカは電柱もでかい

木の電柱とスケボーキッズ。アメリカ~。こういう大都市じゃないアメリカって、実は旅行で行くことってあんまないよね。映画の世界だ。

 

ライブ

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ライブの始まる時間はかなり遅い。この日は10時くらいからスタート。それまでみんなだらだらと飲んで待つ。これがヴェニューの売り上げにつながり、ライブのチケットは安い。イェンスに声をかけたら、日本から来たことには対して驚かず(事前にメールしてたと思う)、日本人って世界中どこにでもレコード探しに行ったりするよね~と。誰から何を聞いたのやら。ライブを一番前で見ていたら、隣にいる男子が、こないだまで調布のNOVAで英語を教えていたという。三鷹にずっと住んでた自分が、インディアナ州の小さな街のヴェニューで隣の市の調布にいた人と会えるとは。彫刻家を目指す彼はブルーミントン出身らしく、街のこともいろいろ教えてくれた。インディアナ州はレッドステートだけど、ブルーミントンはその中でぽっかりとリベラルなところなんだ、大学もあるしね、テキサス州のオースティンみたいなもんだ、とのこと。ライブの後に、ギャラリーでアフターパーティーがあるから行こうと誘われる。知らない土地で親切そうな人がいたら誘いは断らない。イェンスはもちろん来なかった(だろうと思った)。版画の展示をしてるギャラリーで、インディー音楽を聴く若者が集うパーティー。みんな知り合いなんだろうなぁ。

 

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飲み潰れた人

ブルーミントン→シカゴ

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バス乗り場

翌日シカゴへ戻る。初めてのグレイハウンド。わくわく、だが、どれくらい混むものなのか、誰が隣に座るか、どきどき。シカゴまでいくつ停車するのかも知らなかったが、ブルーミントンを出て初めて停まったところでしばらく停車していると、馬に乗ったアーミッシュの家族がバス停に到着して乗り込んできた。男性は長い赤毛のひげ、女性はボンネットのようなものを被っている。ああアメリカ~(何回目)。そしておばあちゃんも1人乗車。平和な車内。

 

インディアナポリスでバスは停車。ここで乗り継ぎのようだ(知らんかった)。降ろされて、乗り換えのシカゴ行きのバスにはなんとなく列ができていたが、並んでいる人たちがすごくワーキングクラスに見える(失礼)というか、みんなよれっとした服装で、表情も厳しい(ように見えた)。長距離バスを使う理由は、車を所有してない、片道だけ必要、とかいろいろあると思うけど、あまりお金に余裕のない人が使うのもかもしれない、という先入観があったので、ちょっとびびる。今考えると、初めてアメリカ東西海岸以外の土地に来たのでリアルさに偏見があったせいだと思う。どきどきしながら並んでると、後ろにいた男性が何か話しかけてきた。びびりながら聞き返すと、この列でいいんだよな?と聞かれてるだけだった。シカゴ行きのバスはほぼ満席。隣にはあのおばあちゃんが座ってくれて助かった。

 

シカゴで強盗未遂?

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ヴェニューの写真がなかった。ダウンタウンはNYと違ってでっかい建物がゆったりと並んでる

シカゴに戻ってそこでもライブを観た。イェンスとしゃべったりしながら明け方4時までヴェニューにいて、さてどうやって友人宅まで戻るか考える。イェンスは同行するバンドとブルーミントンに車で戻るので送ってあげられないと。シカゴ市内だが、こんな時間に流しのタクシーはない。バーの人に聞いても呼んでくれないようだった。歩いて帰れないこともないので、歩くわ~と出発。まだ3月なので真っ暗だが友人宅のある通りに着いたら、同じ歩道をこちらに向かって歩いてくる黒のフードを被った男性が。グラスゴーで明け方に歩いていてひったくりにあった経験があるので、やばいセンサーが働き、すれ違ったあと走ってアパートの入り口の鍵を開けて急いで建物内に入った。すると、あの男が同じ歩道を折り返して歩いてきた。不自然すぎる・・やっぱ戻って後ろからひったくろうとしてただろ!(いや、コンビニに行こうとして財布忘れただけかも)。まだ起きて勉強してた友人の妹に興奮気味に伝えると、あ~そいうことあるよね、と気のない返事。アメリカで生活するとこの手の緊張感は日常なのか。こんな時間にほっつき歩くな、って話なんだけど。黒いフーディを着てるだけで犯罪者だと思われがちなことが一時話題になったけど、こんな時間に遭遇すると怪しさ満点なんだよな。

 

アイダホ州Boise、シアトル

2008年夏にはアンドリュー・バードのライブを観るために、ポートランドを基地にして、アイダホ州Boise(ボイジーかボイシー)とシアトルに行った。ポートランドに行きたかったので、周辺のツアー地を選ぶとこうなった。都市間距離が遠すぎるので直行でポートランドに到着後すぐに乗り換えてBoiseまで飛行機。ポートランド⇔シアトルは電車。この旅は特にトラブルもなく順調だったので(宿も確保していた)特筆することはなかったけど、Boiseもどこそれ?な街だった。唯一、危なかったのは、シアトル行きの前夜に本屋のPOWELL'Sで声かけられたNIKE社員と飲んでラウンドしたら酔っぱらって翌朝6時の電車に滑り込んだことぐらいか。

 

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山が見える

この旅行、デジカメを忘れて現地で写ルンです(じゃないけど)を買って泣いたので、写真が少ない。

 

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ヴェニュー

ライブが終わったあと、まだ明るいなか、自転車で去っていく若者たちの後ろ姿を覚えている。シアトルは公園で行われた小さいフェス。芝生に座って観るようなやつ。近くに座った若者と話してると、コロラド州ボルダーから来て、宿はお金がもったいないからビーチでテントを立てて泊まったと言う。カモメと格闘したとか、潮が満ちてテントが濡れそうになったとかわいわい楽しそうに話す男子2人。かわいい・・。ポートランドのZineを売るお店、Reading Frenzyのバッジをつけてたら、Zine僕も読むよ、シアトルならあの店に行けば、と教えてくれる。ライブで会う人ってまあ同じ人種だったりして、こういうsmall talkが楽しい。アメリカはすぐに人に話しかけるからこんな機会も普通にあるのがいいな。

 

ライブが観たいがために辺境?な街に行くシリーズ、もっとやっておけばよかったなと思う。ブルーミントンはほんとに行って良かった。ちなみにイェンスもA・バードも、観に行った翌年に来日してる。そういうもんだよね・・。