virgilの日記

映画、シリーズの感想多めです。

ドーハオープン QATAR EXXONMOBIL OPEN 2024 観戦記

 2023年のボースタッド上海に続き、カタールのドーハで行われたQATAR EXXONMOBIL OPENを観戦しました。ドーハに滞在したのは2/18 (日)~2/24 (土)で、2/25早朝にドバイへ移動し、2/27まで滞在する中東ツアー。両大会とも、月曜~土曜までの6日間開催。ムスリムの国は週末が金曜と土曜なので、土曜に決勝が行われる。数年前にUAEは土日休みになったけど、24年大会も土曜まで。この記事はドーハ編です。

通貨:1QRカタールリヤル)=約40円

経緯

 ドバイはルブレフがほぼ毎年出場するので、以前から目を付けていた大会。自分の中で中東ブームだったのもある。昔から「私もトルコで考えた」という漫画を擦り切れるほど愛読していて、ムスリムの国が前々から気になっていたけど今まで行かなかったのは、もっと歳をとってからでも楽しめるだろうと思っていたから。昨年スウェーデンに行く手前でイスタンブールに寄り道したのをきかっけに、ご飯がおいしいのと、あふれる異国感に目覚めてしまった。トルコは世俗国家なので飲酒もそれほど難しくないし、スカーフを被ってない女性も多いから(地域による)、カタールUAEなどの本格的なムスリム国家ってどんなだろうという好奇心も。

 当初はドバイ1週間を予定していたが、その前週のドーハのエントリーリストを見ると、ほぼドバイと同じ。それなら小さい大会で見るほうがいいに決まってる、と断然ドーハに傾く。こちらのほうが日程も都合がよいので、ドバイは2日だけ見に行くことに。これが結果的に英断になるなんて、この頃はもちろん知る由もなく…。

アクセス

フライト

 ドーハはカタール航空の拠点。東京から直行便があり、値段も高くないので即決。2/17 23:55発、2/18 6:50着(約13時間)。ハマド・インターナショナル空港は巨大ハブ空港として有名で、9割以上の乗客はトランジットで通過するらしい。日本からだと、ヨーロッパ行きの安いフライトで利用する人が多い。つまりカタールに入国する人は1割にも満たないということ。クワイエットルームなど、ゆっくり長時間待てるスペースもあり、広大なので楽しみにしていたが、制限区域内でゆっくりする時間があまりなかった。空港内にはこんなブース?を発見。

 ドバイに移動するフライトを調べていると、本数は多いだろうとタカをくくっていたドーハ・ドバイ間のフライトが思ったよりも少なく、カタール航空は1日たったの8本ほどだったのでびっくり。聞くと、カタールは最近まで周辺のアラブ諸国から絶縁されていて、航空機の乗り入れもストップしていたらしい。事情が面白いので、興味ある人はググってほしい。

メトロ

 ワールドカップに向けて整備されたと思われるドーハのメトロはまだ新しくて路線も3つしかない。もちろん空港始発で市街地に出やすい。会場に一番近いのは青で囲んだCorniche(英語アナウンスはコーニッシュに近い)。私はイエローラインのAl Saddに滞在したので、乗り換えを含めると20分弱くらい。会場は郊外ではなく、比較的中心地にあると言っていい。ただ、駅の間隔は意外に長くて、その間には何もない…という印象。駅構内は人気があまりないが、職員はあちこちにいて、聞けばすぐに教えてくれる。余裕があるという感じもするし、規律を乱さないために人員が多く配置されているという気も。

 1週間滞在するので、トラベルカード(10QR)を購入してチャージ(トップアップ)しながら使った。片道2QR(80円)で、1日パスでも6QR。これはスタンダード車両の料金で、ゴールド車両の料金は5倍。ドーハもドバイも、メトロに必ず1つゴールド車両がある。扉で仕切られていて、座席は航空機のシートのよう。いつもガラガラ。

 来る前に知らなかったことがある。空港から地下鉄に飛び乗ったら、周りは男性ばかり。ムスリムの国は外を出歩く女性が少ないのを知っていたので、気にしていなかったが、いつまで経っても女性が乗ってこない。次に利用したときにやっと気づいた。女性専用車両にあたる、Family車があるのだ。メトロにはGold, Family, Standardの3つの車両タイプがある。Family車には男性が乗ることもあるが、女性を含む家族連れ、女性を含む友人同士やカップルの場合のみ。チェックする係員を車内で見ることはあまりなかったが、このルールは徹底されている。駆け込みでFamily車に乗っても、速やかに隣のStandardに移動する男性たちを何度も見かけた。男女の棲み分けが普通な社会なので、公共交通機関でもあたりまえに実践されている印象。Family車は1つしかないので、混むかというとそうでもない。それだけ外を出歩く女性は少ないということ。人出も多く都会のドバイではもうちょっとゆるかったけど。

 

 Corniche駅で下車すると、案内板があるので迷わずに行ける。が、メトロ駅構内は人は少ないのにやたら広いので、地上に出るまで最低5分は歩く。大規模イベント用になにもかも広めに作ってるのかも。

 

 やっと地上に出ると、がらーーーーんとしている。街全体ががらんとしているのだけど、万博会場の最寄り駅でもあるこのあたりは、一段と何もない(会場の裏側には高層ビルが少しある)。なんか広すぎて見た目が寂しい。撮影したのは予選日の日曜だけど、ずっとこのままだった。ちなみに、ナダルとメドベージェフが欠場しなかったら彼らの写真が使われていたと思う。

 メトロ駅そばにも近道となるゲートがある。夜しか通らなかったけど、何時から開いてたのか分からない。とりあえず、メトロ駅から会場までは暑くてもうんざりせずに歩ける距離。

看板の奥に見えるのが駅の入り口。

Al Sadd駅。メトロ駅は外観も内観もすべて同じ。誰か偉い人の巨大な肖像も、中東あるある。

 ちなみに海外に来るとバスに乗りたいので探してみたが、ほぼ見かけなかった。あるはずなんだけど…。産油国のせいか車社会で、道幅も広い。横断歩道はたまにあるが、信号が壊れてたりして、数少ない歩行者は適当に渡る。これが最初怖かったが、すぐに慣れた。人口も少ないのに、出歩く人も少ない。暑い時期が長いせいだろうけど、そもそも街がブラブラ歩いて楽しめるように作られていないのだと思う。この辺が退屈な街の理由だろうなぁ。

タクシー

 早朝空港に向かうときにUberを利用。Careemというアプリも一般的。ちなみにAl Saddから空港まで35QR(1400円)。朝5時くらいだったが、ものの3分で来てくれた。メトロも安いが、タクシーも低料金だった。会場から帰りにUberする場合は、少し離れた店の前から乗った。上海でも学んだけど、混んでいてドライバーと会えない可能性がある。

宿泊

 これもワールドカップの影響だと思うけど、ドーハはホテル供給過多らしい。人口は少ないが、大規模イベントの招致に熱心なので、ホテル数は多いのだろう。そのせいでホテルの値段も安いと読んだが、私はいつものように計画が遅かったので、それほど安さは感じなかった。1万円弱あたりのホテルを物色して、立地とにらめっこ。ドバイも同じなんだけど、ホテルのレビューに癖があるのに気づく。西欧ならレビューで7~8ならそのまま信用していいと思うが、中東だと違う気がした。7でも、読んでるとこれ5だろ…と思うパターンがけっこうある。8でも部屋がタバコ臭いとかうるさいとか、悪いレビューが散見される。レビュー者に中東出身の人が多いと、評価基準が違うのかもしれない。一番要注意なのが、騒音。1階にレストランを併設しているホテルが多く、ドゥンドゥン系の音を鳴らすところが多い。お酒は飲まなくても(飲まないから?)、平日でも遅くまでかなり大きな音が聞こえる。禁煙部屋でも臭いのは廊下で吸えたりする可能性があるので、「全館禁煙」のホテルを選んだほうが無難。

 

 私が宿泊したのは、メトロ駅Al Saddから徒歩1分のSwiss-Belinn Doha。メトロ移動を考えてる人は駅近がマストかと(出口間違えると道を渡るのが大変なので注意!)。感覚的に、地図で見るより距離が離れてることが多い。徒歩10分ほどの距離に、SPARや飲食店の並ぶ通りがあって、そこは何度か利用した。1階に簡易的なカフェが併設されてる。室内はいたって普通。最初2階の部屋を案内されたら、案の定うるさかったので、翌日4階に部屋に変えてもらう。ホテルの受付の人は少し日本語を話す人がいて、おおむね快適だった。毎日ホテルのこの椅子に座ってた猫。イスラム教の国は猫が大切にされているらしい。

 多分ドーハで一番の観光地、Souq Wagif(スーク・ワーギフ)周辺や、会場のCornicheより北のWest BayやKataraには外資系大型ホテルがある。安心して泊まれるホテルを選ぶのならそっち。

チケット

 チケットは公式サイトからクレジットカードで購入可能。去年の試合のアーカイブを見て、座席の位置や日差しの方向をチェックした。2022年は前列がボックス席になっていたが、なんと2023年は前列がLowerシートに変更されて、ボックス席はその上に!すかすかのボックス席が最前列だと見栄えも悪いし、ファンサービスにもならないと思うので、素晴らしい。そしてもう1点ドーハが最高と思ったのは、自由席なこと。これは珍しいのでは。これなら現地で会った人と一緒に観戦できる(エリアが同じであれば)。しかし、来年から500にアップグレードされるので、指定席になってしまうのかな…。

 昼夜通しチケットのみなのも嬉しい。チケット購入の際に選ぶのは、エンド側orベンチ側orベンチと反対側と、それぞれのエリアのUpper、Middle、Lower(ボックスも選べたはず)。エンド側にLowerはない。見てのとおり、Lowerはかなりコートに近い。

 いつものように出遅れたので、金土のQFとFはUpperしか残っていなかった。初日の月曜日はByeなのでエンド側のMiddle、火曜~木曜はLowerを購入。公式サイトでも購入確認のメールでもそれぞれの金額が確認できず、総計しか分からないけど、全日6日間通って730QR(約30000円)だった。月曜と火曜はLowerでも3000円ほどだったような。とても良心的。これも来年から変わりそう…。

 メールには「チケットはアプリで閲覧可能になります」と書いてあったけど、すっかり忘れていた。チケットオフィスで聞くとアプリを案内されたがWifiがなかったのでダウンロードできず、すべて紙チケットを作ってくれた。聞いたところによると、前週のWTA1000は決勝でも当日にチケットが買えたらしく、全体的に観客も少なかったみたい。ATPは1カ月前でも売り切れていた。ナダル効果もあったと思うが…。

会場内

センターコート

 Lowerの3列目くらいからの眺め。撮影エリアはほぼなくて、可能な限りコートに近い設計。前述のとおり、自由席なので好きな席を選べて、遠慮なく移動できる。自由席最高。チケット購入の際、日差しの方向チェックを入念にしたが、アーカイブを見てもいまいち分からず、ベンチと反対側にした。実際はベンチ側のほうが陰になるのが早かった。2月でも日差しはきついのでここ大事…。夜は涼しくなるけど。

 サインはもらえるけど、最終試合でもない限り、全員はもらえない可能性も。私はベンチ反対側にいて、ちょうどこちら側でどこかの局のインタビューをやった後、その流れでサインしていた。練習後にサインもらうのが気が引けてきたので、勝った試合のあとに欲しいけれど、これはなかなか難しい。ちなみにドーハはほとんどのシングルスはセンターコートで行われる。

 近い!

 エンド側のMiddle7列目くらいからの眺め。最前列なら快適に見られる距離感。このコートは四隅を完全に潰してるので、もっと客席数増やせそう。

 

 Upper最前列からの眺め。さすがに一番前にいても遠く感じる。Upperの難点は、入り口がほかの席と完全に別で、なんとセンターコートのトイレを利用できないこと。外に出て屋外に設置されてるトイレまで走らないといけない(トイレはとても清潔)。Middleと値段はそんなに変わらないのに…。空いてたらMiddleに紛れ込もうかと思ってたが、入り口が違うと2回検問をくぐらないといけないので、あきらめる。

 席を探していると最前列が空いていて、東洋系の女性が座っている(ほとんど会場内で見かけない。アジア系の人がいたら、おそらく現地在住の東南アジア系の人)。もしやと思ってお互い話し始めると、現地で働いている日本人だった。こんな広い会場で隣に座ったなんて偶然すぎてうれしい。ドーハに住んでるなんて質問攻めにしたいところだったが、初対面なのでそこそこに。この夜2試合一緒に観戦して、Uberで一緒に帰宅。

 ちなみに、チケットは完売だけどナダル欠場で客入りが悪くなったりするのかなと思いきや、決勝はほぼ満席で、みんなちゃんと見に来てた。特に強い選手に偏って応援する雰囲気もなく、非常に和やかな雰囲気で楽しかったなぁ。客層は現地に住んでる人が多い印象。こういう場所だと急に白人だらけになるかと思ったら、そうでもない(ドバイは露骨だった)。もともと移民も多いし、いろんな人たちがいたと思う。それは週末でも変わらず。

グランドスタンド

 多分グランドスタンドと呼ばれていたと思う。2面あって、両エンドに観客席がある。入場券だけでもサイドから観戦はできる(身長170cmくらいあれば)。グランドスタンド専用チケットもあるけど、センターコートのチケットがあれば入れる。ここではダブルスを観戦。開放的でのんびりしていて、暑くなければ、心地よい風が吹いてうとうとしてくるくらい快適。

 

練習コート

 2/18日曜日の早朝に到着した後、とりあえず会場までのアクセスなどを確認するために現地へ。私は到着したらその日は必ず行動することにしているので、疲れて眠いけど(フライトは約13時間)予選日だしもしかしたら練習が見られるかもね…と思い、暑いなか駅から歩く。予選日は入場無料だったので、すーっと入ってまず練習コートらしきほうへ向かうと…

突風の吹くコートで空振る人

 いたーー! シェフチェンコと練習中。あまりの幸運に目が覚める。練習コートはエンド片面のダイヤ柄フェンス。近すぎて申し訳ない(最近、練習見てるとこんな気持ちになること多い)。練習を見てる人はほぼいない。そのせいか知らないけど、コーチのベトに何度も「今、何時?」と聞かれる(腕時計を忘れたらしい)。なぜかベトは饒舌で、いろいろ愚痴られる。

 ベトが教えてくれたおかげで、センターコートへ移動して引き続き見学。セキュリティもすぐに入れてくれた。スタッフがちらほら座って携帯を見てるけど、観客はほぼ私だけ(実はもう一人いたけど、後述する)。IMAXの劇場でひとりで映画を観てるようなイメージ。ボースタッドを思い出す贅沢な経験だった。

 練習の途中に審判のラヤーニがコートを横切ったときのひとコマ。けらけら笑いながら楽しそうに練習しておられた。ベトのおかげで楽しいひととき…というか、中東ツアーのハイライトが初日になってしまった。

 いつもは選手にこんなことを言わないけど、アンディには思わず「絶対勝ってね…」とお願いしてしまう。めちゃくちゃさわやかに、うん、勝ちたいねーと対応してくれた。しばらく勝てずに苦しい時期だったので、初戦勝利を見られて嬉しかったなぁ。あれもドーハのハイライトのひとつ。年々アンディが好きになる。

 翌日からは腕時計持参したベト。

 ドーハは練習スケジュールを公開していない。でもここで諦めない。情報収集すべく、インフォメーション的な場所を探すと、カタールテニス協会の受付を案内され、そこで質問してみた。が、なんか要領をえなくて、は?練習スケジュール?何の?と聞き返される。今やってる大会に決まってるだろ…。ドーハではいろんな人(主にスタッフや店員)と話してみたが、全体的に男性は物腰が柔らかく、女性はてきぱきしてるが冷たい印象。でも全体的にはセキュリティの人ものんびりしてたし、ゆるい感じではあった(後のドバイと比較して、かもしれない)。最初は、誰かに練習は非公開とも言われたが、問題なく見られた。

 本選が始まっても、練習を見学する人は少な目。練習後のサインに群がる人たちも、20人もいたら多いほう。選手が1人でふら~っと歩いてても、人が群がらない。ストルフは3歳くらいの子どもと2人で練習コートに向かっていた。のどかすぎる。ここにナダルが予定通り出場していたら、さすがに騒がしくなっただろうけど、どうなっていただろう。苦労せずサインもらえたのかな。

 たしか開場は試合開始(午後2時だったかな)1時間前だったので、それより前に練習していたら見られない。QFで負けるまで毎日練習が見れたのはラッキーだった。ドバイも同じだったが、他の大会のように試合開始は午前11時ではなく、遅めの午後2時。気候のせいもあって夜型社会だからかな? 午前中が特に暑い印象はなかった。

 ルブレフ/ハチャノフのラリーに見入ってるキッズ。

 ここのソファで友達とまったりしたの、良い思い出。

飲食・物販

 各国料理が揃うこの広場以外にも、コーヒースタンドやカフェスペースがある。それほど高額ではなかったと思う。寿司もあった。

 アラビアンな一画もあり。右の店では香水を販売している。中東は香水が有名?で、よく専門店を見かける(調合してくれたりする)。決勝を見ていたとき、隣のグループのひとりが買ったばかりの香水を女性の腕にかけていて、いい香りだったので、箱の写真を撮らせてもらう。試合後にこの店に行くと、もう売り切れ。隣に座った人にもらったサンプルを財布に入れて持ち帰り、帰国してから嗅いでみると、日本ではつけられない香りだった(あるある)。ドーハのBrzanというブランドらしい。あーいい香り(嗅いでる)。

 パスタの上にチキンがのっている。何か聞くと、甘いと言うので、???な顔をすると、ひと口味見させてくれた。甘いパスタ?見た目からは想像できないが、カステラみたいな味。トルコにも、プリン?の中にチキンを入れたデザートがあるので、似たものかも。買ったのは下の写真。何かの煮込みと、タピオカ入りのスパイスの効いた温かいドリンク。とても美味しい。

 毎日入口で配布していたパンフレット。勝ち進んだ選手が表紙を飾る。

 A3サイズのバナーも、入り口で無料配布していた。太っ腹。

 物販はしょぼかったので何も買わず。

 最終日の決勝後、エクソンモビールのブースに優勝したハチャノフが来ると見込んで並んで待っていると、本人は現れず、代わりにデカいボールをもらってしまった。スーツケースに入らないから手荷物で翌日ドバイ行きの飛行機に搭乗すると、荷物検査で止められ、あえなく空気を抜かれる…。爆発の危険があるらしい。全部抜ききるのは時間がかかるので、中途半端にしなっとした状態で持ち帰ることに。

 このブースで並んでいたときに話をした女性(東南アジア系の方)は、17年間もこの大会のボランティアをしている人だった。大変だけど楽しいと話してくれた後、選手と撮った写真を見せてくれた。メンシクがお気に入りらしく、この目を見てよ!と嬉しそうでかわいかった。

 

ドーハの街

 試合開始が午後2時だったり、試合数の少ない後半は観光する時間もあったので、少しだけ紹介。

 ドーハで検索すると、世界一退屈な街、なんていうコピーがでてきたりするけれど、近年は大型イベント招致などで観光にも力を入れているらしい。といっても、現地に住む人に聞くと、観光地はSouq Wagifくらいかな…とのこと。まだまだ伸びしろあり。ここは昔の街並みを再現したエリアで、つくりものの観光地かと思いきや、日用品や仕立て屋、バードマーケットなど、地元の人も利用するような店が連なるスーク(市場)もあって、割と楽しめる。

 観光地価格なんだろうな、と思いつつ、メニューに値段のないレストランで適当に注文してみた。フムスもファラフェルも美味。会計後にレシートを見てびっくり。この量で1000円しない。観光地価格のレストランも近くに多いので、混ざってる様子。ドーハに住んでる人もSouq Wagifでたまに食事すると話していたので、観光客しか行かない場所でもないらしい。

 ちなみにこのレストランでは、何も言わないとフォークをくれなかった。ふとまわりを見てみると、全員手で食べていた。たしかに全部手で食べられる。あと、ファラフェル(豆のコロッケ)は一番安価なおかずらしく、1個単位で売る店も多い。日本ではあまり食べられる店の少ない、大好きなファラフェルサンドを思う存分食べてきた。

 ほかにもシリア料理、トルコ料理、エジプト料理(モロヘイヤのスープを食べてみたかった)と、中東エリアの各国料理を堪能。意識しなくてもベジタリアン食になることが多いのも好き。

 初日到着して一番最初に入ったホテル近くの食堂。渋い地元の男たちしかいないし、入ってもいいのかな、と思ったけど、誰も私のことなんか気にしていない(じろじろ見てはいけない風習なのかは不明)ので、気楽にしていられた。シュワルマ(ラップサンド)とティーで320円ほど。こういうところで食べるのが一番楽しい。

 豆に飽きたな、と思ったら韓国料理店を見つけたので、キンパを食べる(おいしくない)。食べ物の選択肢は多い。

 ビルが集まるエリアでは、暑いせいかエリア限定の無料トラムも走っていたりする。買い物の用事があって高層ビル街にもちょっと行ったけど、こういうのはどこも同じだし、海沿いの開発エリアも(私は)興味がないので、世界一とは言わないが、まだ退屈な街の看板は下ろせないかもしれない。新しく作った街という感じで、古いもの=観光資源が乏しいなんだな、という印象。

 とはいえ、どこにいっても人がまばらで静かなのが、だんだん心地よくなってきて、ドバイに移動したときのガヤガヤ感にやられてしまった。しーんとしてるけど、私は食べ物が合うので割と気に入った、かな。同じイスラム教の国でも、トルコのように人はあまり人懐こくないし、どちらかというと、親切でもスーンとしてる。カタールに住む9割近くが外国人労働者なので、あまりお国柄を感じにくいのかもしれない。大会のスタッフやお店で話す機会のある人々は、ほぼ外国人労働者か、移民の人だと思う。

 

その他

こまごまとしたことをまとめて。

  • ドーハオープンのウェブサイトは情報が少なすぎてほぼ使えない。
  • 世界中あちこちのテニス大会に行ってる人は、ドーハはちょっと退屈と言ってたが、このくらいこじんまりしてるほうが、気楽で好きかもしれない。
  • 支払いはどこでもクレジットカードが使える。現金がいる場面がなかったので、すっかり忘れていたくらい。両替店も見かけない。
  • 住人がほぼ外国人なので、英語はどこでも通じるのが便利。
  • 2月でも昼間は大変暑く、日向で観戦するのがけっこう厳しい。日本ほど湿気はなくても、日差しは強烈。陽が落ちると涼しくなるが、薄手のダウンは必要なかった。この時期は季節の変わり目なので、風の強い日が多いらしい。
  • 治安は良いと感じた。常識的に気を付ければ問題なさそう。帰国してから知ったのは、ドバイは監視社会らしい。ドーハも同じかは分からないけど、軽犯罪も厳しく取り締まられていそうな雰囲気はなんとなく感じた。

出会った人々

 ツイッターで現地にいることを知らせると、全然知らない人から、私も行くよコメントをもらうのは、ボースタッドから始まって毎回のこと。本選初日にRubloTシャツですぐに発見されて出会ったファン仲間(上海から来たと聞いて、えー!と思ったが、お前も東京からだろ)と一緒の席で観戦できた。シングルス観戦8試合目にして、初めて負け試合を観たので、誰かいて良かった……。そして濃い情報交換ができて大変楽しかった。ツイッター経由とはいえ、このパターンで出会う人たちはなぜかいつも非アクティブな人ばかりで、幸い似たようなテンション(大事!)の人が多くてうれしい。SNSはまじでやめたほうがいいよ~と何度も言われる。おっしゃるとおりです…(これは長い話)。

 予選日に見かけた、ひとりの男性。センターコートのルブレフの練習も見に来てたけど、ファンのように熱心に見てるという感じでもなく、気になったので外で声をかけてみた。彼はヨルダン人のフォトグラファーだった。ルブレフの写真をインスタにあげるとけっこう反応があるので、もっと撮ろうという気になる、とのこと。やっぱりリアクションって大事。大会後もお互いのフライト時間が近かったので、空港で合流してゲートまで見送ってくれた。ちなみに、ルブレフが好きらしく、選手としてよく知っていた(大事)。

 今回の中東ツアーも、上海と同じく、現地で友達ができることは期待してなかった。というのも、両方とも全然馴染みのない場所なので、何を期待していいか分からないのだ。それが功を奏してるのか、今のところテニス旅は毎回良い出会いがある。いつも書いてるけど、結局一番楽しくて記憶に残るのは、この予想してなかった出会い、なんだよね。ここまで続くと次のテニス旅が怖くなるけど、きっとまた「別に何も起こらんだろう…」と思いながら行くんだろうな。

 

ドバイ編に続く。